「香具師」はネット上で「奴」「ヤツ」という意味で使われるスラングで、読み方も意味と同じく「やつ」です。
語源となっているのは実際に昔から使われている「香具師」で、本当に「やし」と読みます。
これをカタカナで「ヤシ」と表記し、シをツに置き換え「ヤツ」となりました。
本来の香具師の意味は、いわゆる「テキ屋」(てきや)と呼ばれる祭や縁日などで屋台を出したりする露天商の事です。
もともとは江戸時代に薬や香具を作り商売していた香具師(こうぐし)から由来し、徐々売り場を取り仕切る方へと言葉の意味がかわり、現在ではテキヤを指す用語となっています。
なおテキ屋はヤクザやその関係者が就いている事が知られており、その元締めを行っているのはヤクザの親分や幹部に当たることが多いです。
使い方は以下の通りで、「奴」とか「ヤツ」を置き換えた形の表現で使われます。
- 未だに手に入れてない香具師いるの
- 香具師がまだあそこにおる
- さっきまで一緒にいた香具師
- 何もしてない香具師もいたし
- 暇な香具師おらん?
発祥は「2ちゃんねる」が出来る前からあった有名なネット掲示板「あやしいわーるど」で、「DTP」という固定ハンドルネームのユーザーがおり、この偽者が現れめちゃくちゃな書き込みをするも他のユーザーに本人でないと気付かれる事態となると、この偽者は開き直って「DTP@香具師」と名乗るようになりました。
「DTPな奴」という意味で使ったこのフレーズが「香具師」を広めるきっかけになりましたが、まだネットが普及して間もない1999年の事です。
その後もしばらくはネットに詳しい人達を中心に使われるのみでしたが、2010年代になってツイッターやSNSの普及で一般にも広まりつつあるものの、まだそれほどの知名度はがあるとは言えない状態です。
また、2000年代前半には香具師と同じ意味で「椰子」(やし)という表記も使われた事がありますが、現在ではほとんど見かけません。