「ホタル族」はアパートやマンションなどの集合住宅のベランダで喫煙する行為の事で、夜間のたばこの火が蛍の光のように見えることから由来した用語です。
「ホタル族」の他にも「蛍族」「ほたる族」の表記もよく見られます。

室内でなく外でたばこを吸う理由としては「室内の壁や天井、家具がヤニで汚れる」「家族の受動喫煙を避け健康維持のため」「臭いが不快」「衣服や髪に臭いが染み付く」等が挙げられます。

発祥は1980年代後半頃で、10年ほどは頻繁にテレビなどでもよく使われていたものの、その後しばらくの間あまり耳にすること無く死語に近い位に耳にする機会が減った状態になりますが、2010年代中盤頃からはツイッターなどのSNSを中心に少しずつまた使われるようになりつつあります。

なお、当時はそれまでの日本の家庭では存在が大きく威厳があった父親が、部屋の中ではたばこが吸えずに一人寂しく外で吸う事が増えた事から移りゆく時代の流れの中で生まれた言葉とも言えます。

また、今では考えられませんが「飛行機の中」や「電車の中」等どこでもたばこが吸える時代背景もあり、ホタル族による両隣・上下の隣接する部屋の住人からの副流煙の被害についてはあまり見られませんでしたが、近年では禁煙への流れが進んだこともあり近隣住人の被害の声も多々あがっています(後述する裁判の例もあります)。

ホタル族の使い方や表現は以下のとおりです。

  • ホタル族って久々に聞いたなー
  • 真冬なのにベランダのホタル族を見ると可哀想になってくる
  • ホタル族なので雨でもベランダにいる
  • このマンションほたる族多いなー
  • エアコン汚れないように蛍族してる

もともとは集合住宅でなく一軒家の外で吸う場合は「ホタル族」には該当しなかったようですが、現在では室内でなく外、ベランダや庭でたばこを吸っていればホタル族とする使われ方が多く見られます。

ホタル族が誕生した1980年代後半というと、喫煙率が高く今よりも健康被害についての知識がなかった頃であり、隣接している部屋に流れてくる煙や臭いについての批判などは聞かれませんでしたが(現代のような個人が声を上げるSNSがなかった事もあるかもしれません)、これだけ禁煙の流れが加速した近年ではやはり流れてくる副流煙に対する批判は少なからずあり、実際に損害賠償訴訟の判例もあります。

マンションに住む70代女性が下の階の60代男性が吸うたばこの煙が原因で体調を崩したため、150万円の損害賠償金を求めたもので、2012年12月13日に名古屋地裁は慰謝料5万円の支払いを命じる判決を下しています(たばこが体調悪化の原因として認めていませんが、住人への不利益に対し防止策をとらなかった事への違法性により)。

ホタル族との苦情やトラブルでは話し合いや裁判所での和解で解決することが多いようですが、裁判を起こし判決までいった事例は上記が初となり当時ちょっとした話題になりました。

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